近況報告の記事である。

僕は今長編小説を書いている。取りかかる前に全体で155000字になるだろうと予測をした。前半が75000字で後半が80000字という予測だ。僕はプロットを組まずにいきなり本文を書くかたちで小説を書くので、これは計画というよりは予測に近い。

現時点での累計は42000字だ。つまりあと33000字以内に前半をしめくくらないといけない。これは多分可能だろう。僕は多くの場合、三幕構成の典型に沿って話を作る。この構成法に従えば、ミッドポイントの前に主人公は大きく上昇する。今の自分にとっての重要なポイントはここで、主人公がどれだけ高く跳躍できるかどうかで物語全体のできが決まってくる。

たぶんそれはできると思うのだが、簡単なことでもない。きっと苦労することだろう。それでここ数日の僕は正直なところ執筆には本腰を入れず、別の原稿の作業をしたり、あるいは今の作品の推敲をしたりしている。つまり難関に挑む前に一休みをしている。

この作品はそもそも今年の日本ファンタジーノベル大賞に出すつもりだった。なぜなら原稿の長さから言って他に出せるところがないからだ。しかし締め切りの六月末日には間に合いそうにないので、もう今年の同賞に出すのは諦めようと思っている。今年中には完成するだろうから、そのままウェブに公開するか、あるいは来年の同賞に出すかするだろう。

執筆というのは苦しい。僕は重要な場面を書くときはいつも崖から飛び降りる思いがする。きっと今回も同じだろうなと思って、僕は今から気を落としている。そこに締め切りに追われる苦しみを加えると僕は多分潰れてしまうだろう。それで今年の応募は諦めることにした。

なぜこんなに苦しい思いをするのだろうか。それで賞に出しても僕はいつも落選している。最終候補になった経験もない。

結局のところ僕が書く理由は単純で、執筆によって大きな達成感が得られるからだ。良い物が書けたときは気分がいい。有り体に言ってドーパミンが出る。たとえばしばらく前に書いた「真子と鏡」は40000字の短編小説だが、この長さで影と鏡像の問題を解決したことや、それに関する非常に典型的な技法を用いたことに関しては、類を見ないのではないだろうか。僕はささやかではあるものの文学の歴史の山に自分の石を加えた感じがする。

「真子と鏡」は次の同人誌に掲載される予定である。いずれBoothで購入できるようになるので、よければお買い求めいただきたい。

「東京銀経社アンソロジー 真子と鏡」書影公開|東京銀経社note.com