最近僕は小説の書き出しだけを書いた。200文字ぐらいの内容で、第一文で主人公に何か衝撃的なことが起こり、それによって主人公の心は二つに割れてしまう。具体的に言うと、小説の本文が女の子が主人公である層と、彼女が空想している人物が主人公であるような別世界の層とに分かれてしまうのだ。それらが交互に語られるという形で本文が構成されるようになる。三文ほど片方の層を語ったら、次の三文は別の層を語る、という具合に本文は構成される。それをくりかえしていく。

自分で書いておいて言うのも何だが、これはけっこう厄介な構成だ。まず、読者は読むのが大変であろう。二つの筋を並行して追うのに苦労させられると思う。それだけのストレスを読者に与えておきながら、なおそれを越えるだけの面白さを僕は彼らに提供できるかどうか。それがこの小説の執筆のポイントになる。

書くのも当然だが大変である。特に僕はプロットや設定をいっさい書かずにいきなり本文を書き始めるように努めているので、並行して展開される二つの筋を統合できるのか、制御できるのか不安である。

この作品の基調は混乱である。主人公は混乱しているので二つに分裂している。混乱はおそらくミッドポイントで最高潮に達し、その後深く傷ついた主人公は混乱を鎮めるため、傷を回復するために何かしらのカウンターメジャーを取る。それにより混乱は消え去り、最終的に二つの層は一つに統合されるであろう。以上のような大まかな物語の見取り図が成り立つ。

とすると僕は主人公の女の子の混乱や、彼女がそれにどう対していくかを書けばいいとわかる。それと、ミッドポイントで事実としてどんな事件が起きるかは、あるていど想像しておいた方がいいだろう。想像というよりはひどいことが起こることへの覚悟、と言った方がいいかもしれない。

何にせよ僕はプロットや見取り図を書くのが苦手なので、ここに書いたことを重視するつもりはない。重視するつもりはないが、今の僕は何をどう書けばいいかわからず、気力も湧いてこない状態なので、自分を落ち着かせるためにこの記事を書いた次第だ。

この構成は今までこのブログでくりかえし語ってきた「影と鏡像」というテーマと関連している。典型的な「影と鏡像」文学においては主人公は二つに分裂してしまい、苦しむ。僕はそこを書かなければならないと思っている。